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その他 2021.11.05

令和3年度 業務功労表彰審査委員会における選考について

審査結果

 A 調査・設計・監理部門
優秀賞

ア「特に優れているもの」
 (国宝)旧富岡製糸場西置繭所保存修理事業 
 (国宝)旧富岡製糸場西置繭所整備活用事業
 (重文)名古屋市東山植物園温室前館保存修理事業

入賞

ア「調査、設計、監理の各業務部門で優れているもの」
 (重文)黒島天主堂保存修理事業

奨励賞

ア「初めての工事主任として担当した業務が優れているもの」
 (重文)通潤橋保存修理事業

 B 報告書等作成部門
優秀賞

イ「報告書作成、保存図作成の業務のいずれかが特に優れているもの」
 (国宝)旧富岡製糸場西置繭所保存修理工事報告書(建造物編)
 (重文)名古屋市東山植物園温室前館保存修理工事報告書
     (本文・写真編)(図面編)

奨励賞

ア「初めての工事主任として担当した業務が優れているもの」
 (重文)米山寺宝篋印塔保存修理工事報告書
 (重文)阿蘇神社一の神殿ほか5棟保存修理(災害復旧)工事報告書
     (一の神殿、二の神殿、三の神殿、神幸門、環御門編)
 (重文)熊本城長塀修理(災害復旧)工事報告書

講評

 A 調査・設計・監理部門

(国宝)旧富岡製糸場西置繭所保存修理事業
 修理工事報告書も期限通りに刊行され、保存修理・耐震補強・整備活用という多岐にわたる内容を各種チームの軸として事業運営を実施し、修理工事を完成度高くやりきったことが高く評価された。

(国宝)旧富岡製糸場西置繭所整備活用事業
 旧富岡製糸場の事業のひとつの核として「整備活用」があった。そのガラスを用いた耐震も兼ねる活用方法だけではなく、計画の理解と検討のために模型を使った点や照明デザイナーとの調整、さらにはギャラリーの展示計画やガイドブックの編集にまで関わり、大きな成果を上げたことが高い評価に繋がった。

(重文)名古屋市東山植物園温室前館保存修理事業
 修理工事報告書も期限通りに刊行され、名古屋市営繕課との共同監理という特殊な立場でありながら、これまでに例のない構造・工法について、様々な課題をクリアしたその設計監理が高く評価された。

(重文)黒島天主堂保存修理事業
 事業運営は、所有者との良好な関係を築き、離島であるというハンデを乗り越えての業務が評価された。修理工事報告書は期限通りの刊行ではあったが、内容的には標準的なものであり、顕彰には至らなかった。

(重文)通潤橋保存修理事業
 業務の中心が主任補佐によるものであるにも関わらず、竣工間近の再びの災害にも、破損原因や破損過程を検討し、その原因の除去まで対応できており、高い評価に繋がった。修理工事報告書が若干遅れた点が悔やまれるが、その内容には一定の評価があった。

 B 報告書等作成部門

(国宝)旧富岡製糸場西置繭所保存修理工事報告書(建造物編)
 膨大な情報量を手際よくまとめており、比較的コンパクトに収めている。章立ての方法にこれまでの修理工事報告書とは少し違ったやり方を用いているが、それは、修理・耐震・整備活用を連絡させて結実したこの事業の特徴をよくあわらしている。全体に統一感があって、うまく編集されており、高く評価された。

(重文)名古屋市東山植物園温室前館保存修理工事報告書(本文・写真編)(図面編)
 類例が少ない技法や工法を丹念に調査し、その成果を、挿図を的確に使いながら整理してまとめられている。事業の経過で、専門委員会の果たした役割をもう少し明確にされると良かった。全体として、一般的な修理工事報告書の形式を踏襲しながらも、現代建築分野の先駆けとして貴重な基礎資料となり得るよう編集されており、高く評価された。

(重文)米山寺宝篋印塔保存修理工事報告書
 修理工事そのものは、比較的簡単であったように感じられるが、その内容については標準的な内容が網羅されており、真摯に取り組んだ姿勢が見え、好感が持てる。担当者は、入会3年目であるが、調査から図面作成、本文執筆、編集と一通りのことをこなし、まとめ上げた点は評価できる。「優れた報告書」とまでは評価できないが、完成度は高く、すなわち期待値も高いことから、奨励賞とした。

(重文)阿蘇神社一の神殿ほか5棟保存修理(災害復旧)工事報告書(一の神殿、二の神殿、三の神殿、神幸門、環御門編)
 これも補佐によりまとめられた修理工事報告書である。第1期6棟分を的確にまとめており、好感が持てる。しかし、全体的に表面的なトレースに終わっており、災害に対する破損に何を工夫して修理したのかなどが写真キャプションなどを通してもう少し伝えられればもっと良かった、という意見もあった。全体的には、必要十分な内容が網羅されていて、オーソドックスな形式で修理工事報告書としても見やすく整えられており、奨励賞とした。

(重文)熊本城長塀修理(災害復旧)工事報告書
 熊本地震による災害復旧の初めての修理工事報告書となる。担当は、主任の資格はあるが、初めての修理工事報告書作成であった。242mにわたる塀であり、単調で単純な建造物であるが、真摯に取り組み、施工面の報告も丁寧に記載されており、修理方法もきちんとまとめられている。年代区分調査など結果の表示には苦労があったと思われるが、もう少し模式的に表現しても良かったのではないか。今後創意工夫をして、よりよい修理工事報告書が出来ることを期待して、奨励賞とする。

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