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お知らせ 2021.06.21

設立50周年を迎えて

 公益財団法人文化財建造物保存技術協会は、本年令和3年6月21日に設立50周年を迎えました。この記念すべき50年という節目の年を迎えることができましたのも、これまでさまざまな形でお力添えをいただきました皆様のご支援とご協力の賜物と、心から感謝申し上げます。


 昭和46年6月21日、文部大臣から財団法人の設立の許可を受け発足した当協会は、我が国の文化遺産および伝統技術の次世代への継承という大きな使命を果たすべく、国宝・重要文化財建造物等の保存修理や、その中核となる修理技術者の育成に一貫して取り組んでまいりました。平成21年7月には、公益法人改革により内閣総理大臣認定の公益財団法人となり、令和2年12月には「伝統建築工匠の技」がユネスコ無形文化遺産に登録され、当協会はこれらを構成する17分野の技術のうち、「建造物修理」と「建造物木工」の選定保存技術保持団体として認定されました。
 国宝・重要文化財建造物の保存修理事業は、日本の文化を支える国家的な取り組みです。当協会は、我が国の文化財建造物の保存修理に関わる第一線の担い手として、文化財建造物を未来に引き継ぐため、先人が築き上げてきた文化財建造物の修理の歴史と技術の積み重ねを基に、これからも力を尽くしてまいります。併せて、さまざまな環境の変化に確実に対応すべく高い技術力と実践力を備えた修理技術者の育成を着実に続けてまいります。
 この50年の間に、我が国は阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの大地震や、数多くの台風による風水害など、大きな災害に見舞われました。災害復旧を目的とした文化財建造物の修理事業に対応するとともに、保存修理に際しては耐震構造の確保が不可欠となっています。また、保存修理の対象は木造建造物はもとより、煉瓦、鉄骨、鉄筋コンクリートといった建造物が加わり、今後、その範囲はますます拡大していくと見込まれます。さらに近年、文化財建造物の活用という観点からの積極的な関与も求められています。当協会として、期待される新たな役割に迅速に対応できるよう、更なる技術の向上と進化に努めてまいる所存です。
 昨年来、人々の行動や社会の在り方を一変させた新型コロナウイルスの感染拡大により当協会も大きな影響を受け、就業体制や事業体制等をいち早く講じて対応してまいりましたが、今後も感染状況の推移等を見つつ、事業の安全かつ円滑な運営に努めてまいります。
 設立50周年の期に、文化財建造物における保存修理の次なるステージを視野におき、強靭な事業体制のもと、役職員一同、当協会に求められる社会的な役割と責務を果たしてまいります。
 今後ともなお一層のご理解、ご指導、ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。


理事長 髙塩 至

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